草と緑
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除草剤はどう生まれ育つのか
伊藤 幹二
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2019 年 11 巻 p. 15-27

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抄録
私たち日本人は,リスクとの付き合い方がへたなことも事実ですが,ともすればリスクの優先順位を間違い,常に警戒を怠るべきでない本当に危険なものへの注意がおろそかになる傾向があります.この背景には,雑草のリスク,除草剤に対する無知さによる“とにかく使いたくない”という公的圧力もありますが,原因は雑草のリスクとその防除手段のリスクをごちゃごちゃにしてきたことにあります.これらの反応は,いずれも,雑草と除草剤の本当の姿を知らないことから起きているように思えます.今回の記事は,世に出回っている除草剤が,どれだけの知力,努力,財力を注ぎ込んだ結果の産物か,その実態を知ってもらうことを目的としています.私たちは,除草剤と呼ばれる化学物質と「どういう道を歩んできたのか」を知っていなければ,「今どういう時代を生きているのか」を知ることが出来ず,ましてや「これからどういう道を進んで行けばよいのか」を考える時に困るのではないでしょうか.そこで,あまり知られることがない,化学物質が様々なバリアーを克服して除草剤として認知されるまでの一連の流れを紹介します.このまま除草剤を忌避し雑草の侵略を野放しにするか,それとも除草剤を駆使して戦うかは,読者の皆様全員の意志と能力次第だといえます.
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© 2019 特定非営利活動法人緑地雑草科学研究所

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https://creativecommons.org/licenses/by/4.0/deed.ja
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