抄録
シリーズ「管理で動く雑草植生」では,雑草植生が変わる・変えられるということについて,数回に分けて解説する.第1回では,主たる植栽のない立地において,イネ科植物の群落が,刈取りという人為に対してどのように変化するのかという一般性について解説した.まず,生態学的な観点から,雑草群落は「草原」であることを説明した。次に,一般的な遷移の概念と,現在の日本列島で普通にみられる草原は火入れや刈取り,放牧などの人間の影響のもとで成立した二次草原(半自然草原)であることを,放牧地における遷移の調査事例をもとに解説した。そして,攪乱,とくに刈取りにともなって植生がどのように変化するのかについて,採草地・放牧地,河川堤防,水田畦畔および高速道路法面での事例を紹介した。草原にどのような植物が生育しているのかを知り,植物同士の共存や排除のメカニズムを探ることは,河川堤防や水田畦畔,道路法面などの維持管理において大切な意味をもつ.次回以降では,イネ科多年生草本以外の植物も対象にして,植生の変化をひきおこす刈取り以外の要因やそのメカニズムについて解説し,植生を制御する方法を考察する予定である.