2021 年 73 巻 1 号 p. 13-20
2001年,岩手医科大学附属病院は, 24時間体制でハイリスク妊娠に対応できる総合周産期母子医療センターを設置した.その役割に産科危機的状況を回避すべく超緊急帝王切開‹通称;Grade A›がある.このGrade A構築に至った要因と過程を報告する.始めに,院内外で発生しGrade A 構築の要因となった症例を分析し,次に,フローチャート作成と多職種間でのシミュレーションについて検討.要因となった症例は23例‹1.27%›であり,その児の転帰は,子宮内胎児死亡が1例,脳性麻痺合併が2例であった.フローチャートは,主に母子集中治療室担当医師が,多施設の資料,医療安全対策推進室からのアドバイス,麻酔科・新生児集中治療室・手術室・看護部・輸血検査部・医療事務などから意見を集約し作成した.シミュレーションを3回施行した結果,到着から児娩出までの時間は6から19分間とばらつきがあった.今後,安定したGrade Aを運用することで,妊産婦死亡・脳性麻痺児ゼロを目指す.