岩手医科大学歯学雑誌
Online ISSN : 2424-1822
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原著
新しい診査基準による乳幼児期の咬合診査と歯科保健指導
亀谷 哲也三浦 廣行中野 廣一八木 實清野 幸男猪股 恵美子𠮷中 ひとみ加地 以子石川 富士郎山本 加代子
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1988 年 13 巻 2 号 p. 144-151

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抄録

新しい診査基準を用いて, 岩手県紫波郡矢巾町の0歳から6歳までの咬合診査を行った。その結果, 不正咬合は, 1歳6カ月児から46.2%という高い頻度で認められ, とくに乳歯咬合の完成に近い2歳児では49.1%とさらに高い頻度でみられた。不正要因は, discrepancy要因のものが1型, 2型とも多く, 年齢群では, 1歳6カ月児, および2歳児が最も多かった。他の骨格型や機能型は各年齢群を通じて大きい変動はなく, 全体として出現頻度は低いが, 骨格型では6歳児で13.9%に認められた。重症度は, A, B, の段階までが約90%を占めていたが, Cと診断される不正咬合の保有者も少数ではあるが認められた。

以上の結果に基づく保健指導は, とくに顎骨の発育を促進させるような食生活の指導を補強する必要があると考えられた。治療に関する指導では重症度を参考に骨格型, discrepancy型を中心に治療開始の適当な時期を見逃さないように指摘しておくことが重要であると思われた。

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1988 岩手医科大学歯学会
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