1984 年 9 巻 1 号 p. 31-39
E. corrodens は口腔常在微生物の1種で, 骨髄炎1), 心内膜炎2’3)など, 疾患からの分離報告があり, 最近では歯周疾患との関連性が話題になってきている。
私たちは歯周疾患との関連性を検討することを目的として, 口腔内より E. corrodens の分離を試み, その生化学的性状検査と薬剤感受性試験を行った。
歯周疾患の認められない学生 66 名の歯垢から 25 株 (37.9%), 唾液から1株 (1.5%), 歯周疾患患者 28 名の歯肉溝滲出液から 10 株 (35.7%) 計 36 株の E. corrodens を分離した。また3 種類の培地 (血液寒天培地, Chocolate 寒天培地, Todd-Hewitt 寒天培地) と 4 種類の培養法 (嫌気培養, 10% CO2, 培養ローソク培養, 好気培養) で E. corrodens の培養条件を検討したところ, 培地は KNO3 21ng/ml, hemin 10 μg/ml を添加した血液寒天培地が優れており, 培養条件は嫌気培養, 10% CO2 培養, ローソク培養いずれの方法でもよい成積を得たが, 好気培養法では発育が悪かった。
E. corrodens 分離株を glucose 無添加 Heart infusion ブイヨンと glucose 3% 添加 Heart infusion ブイヨンで培養したところ, glucose 無添加 Heart infusion ブイヨンでは壁固着性がみられたが, 3% glucose 添加 Heart infusion ブイヨンでは壁固着性が抑制されることがわかった。また E. corrodens分離株 36 株についてペニシリソ系薬剤 6 剤, セフェム系薬剤 15 剤, Clindamycin, Erythromycin, Amikacin, Chloramphenicol, テトラサイクリン系薬剤 2 剤, Fosfomycin, Azthreonam の計 29 剤を用い最小発育阻止濃度を測定した。その結果, ペニシリン系薬剤にはすべて感受性を示し, セフェム系薬剤の中では Latamoxef, Ceftizoxime, Cefotaxime に高い感受性を Cephalexin, Cefroxadine, Cefadroxil には耐性を示した。また Amikacin, Clindamycin, Fosfomycin には耐性を示した。