2005 年 2005 巻 6 号 p. 86-102
企業組織においては,複数のマネジメント・システムが同時に採用されている。従来は各マネジメント・システムの運用を担当する管理部門の責任の下で,それぞれのマネジメント・システムが責任部門個々の方針を反映して独立的に運用されていたが,近年,全社の戦略に基づいてマネジメント・システムを互いに連動させることが重視されている。個別に運営されていたマネジメント・システムを,トップマネジメントの戦略の元に統合化し,各マネジメント・システムの方向性を一致させることが,組織の戦略共有に効果的であると思われる。
本稿では,中期経営計画,予算管理,目標管理の3つのマネジメント・システムについて,マネジメント・システムを相互補完的に運用することが個々のマネジメント・システムの戦略共有効果を高める働きがあることを確認した。