会計プログレス
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2005 巻, 6 号
選択された号の論文の8件中1~8を表示しています
  • 連結ベースの配当可能利益計算を視野に入れて
    金田 堅太郎
    2005 年 2005 巻 6 号 p. 1-16
    発行日: 2005年
    公開日: 2021/09/01
    ジャーナル フリー
     本稿は,主としてアメリカにおける剰余金分配(利益配当)の考え方の変遷を3時代に区分したうえで検討を加え,さらにそれぞれの時代における連結配当の実態または制度に基づく内容について検討するものである。会計上の資本と利益の区別が会社法上の剰余金分配の考え方と結びつくのは,分配可能財源を利益剰余金に限定した場合のみであるが,連結配当が機能するのは逆に分配可能財源を利益剰余金に限定しない場合かまたは分配可能財源をもとより問題にしない場合のいずれかであった。
  • 月次データを用いた実証分析
    中野 誠, 松浦 良行, 大上 慎吾
    2005 年 2005 巻 6 号 p. 17-33
    発行日: 2005年
    公開日: 2021/09/01
    ジャーナル フリー
     本研究の目的は,月次ベースの残余利益モデルの株価説明力,及びそのインプット係数の推移について,日本企業の連結財務データ(約75,000サンプル)を用いて,1997年6月から2003年8月までの75ヶ月を対象に検討する点にある。本稿の特徴は,月次のアナリスト予想利益のダイナミックな変化をモデルに取り込んでいる点にあり,株式価値評価の精緻化を狙いとしている。月次ベースでの残余利益バリュエーション研究は,日米欧でも既存研究が見当たらない。発見事項を要約するならば,第1に,残余利益モデルはマンスリーという実用に耐えうる間隔でも有効に機能する。このことから,本モデルを用いれば,アカデミクスと実務の融合可能性は極めて高いと判断される。第2に,残余利益モデルの有効性は時系列的に安定しておらず,近年になって急速にその有効性が増してきている。会計ビッグバンによって,会計数値の有用性が高まってきた可能性が示唆される。
  • 李 文忠
    2005 年 2005 巻 6 号 p. 34-46
    発行日: 2005年
    公開日: 2021/09/01
    ジャーナル フリー
     本稿は,これまで提唱する社会的アプローチで中国型コーポレート・ガバナンスの社会的依存性を検討するものである。まず中国の法的コーポレート・ガバナンスを紹介し,次にその実質的コーポレート・ガバナンスを検討する。さらに,コーポレート・ガバナンスの国際的比較分析によって中国型コーポレート・ガバナンスの実態を一層明らかにしてその社会的依存性を分析,検討する。最後に,中国における法的ガバナンスと実質ガバナンスとのギャップを埋める提言を試みたい。
  • リアル・オプション理論によるアプローチ
    矢部 孝太郎
    2005 年 2005 巻 6 号 p. 47-58
    発行日: 2005年
    公開日: 2021/09/01
    ジャーナル フリー
     本稿では,監査判断の如何によっては企業がすぐに破綻してしまう可能性のある状況において,監査人が自らの判断が社会全体に与える影響を考慮して,社会的損失を最小化するように監査判断を選択すると想定した場合のモデルを,リアル・オプション理論を参考にして構築している。
  • 吉田 和生
    2005 年 2005 巻 6 号 p. 59-70
    発行日: 2005年
    公開日: 2021/09/01
    ジャーナル フリー
     本稿では,Vuolteenaho(2002)モデルに基づき,発生項目やキャッシュフローが株式リターンにどのような影響を与えているか,その反応度について分析した。VARを使用した分散分解分析の結果,わが国の株式リターンの変動に影響を与えている主要な情報はキャッシュフロー情報であることが示された。また,1990年代に入り発生項目の反応度は減少しているが,将来キャッシュフローとの関係から,非裁量に比べて裁量的発生項目の反応度は相対的に増加している。
  • 海老原 崇
    2005 年 2005 巻 6 号 p. 71-85
    発行日: 2005年
    公開日: 2021/09/01
    ジャーナル フリー
     本研究の目的は,発生項目の予測誤差が利益の質に対して与える影響を実証的に検証することである。本研究では,利益の質を概念フレームワークに従って議論し,利益情報が持つ価値関連性の程度を利益の質に対する尺度と定めた。そして,発生主義会計のプロセスで生じる予測誤差を発生項目の質と捉え,利益情報が持つ価値関連性に与える影響を検証した。分析の結果,発生項目の質が高いほど,利益情報の価値関連性が高まることが確認された。本研究の意義は,利益情報の有用性の源泉として発生主義会計のプロセスに焦点を当て,発生項目に生じる予測誤差と利益の質の尺度としての目的適合性との関係性をわが国のデータを用いて検証したことにある。利益の質に関してわが国のデータを用いた実証的な研究は多くは行われていない。本研究の結果は,わが国における今後の利益の質に関する実証研究に示唆を与えることが期待される。
  • 中期経営計画,予算管理,目標管理の相互補完関係に関する考察
    林 攝子
    2005 年 2005 巻 6 号 p. 86-102
    発行日: 2005年
    公開日: 2021/09/01
    ジャーナル フリー
     企業組織においては,複数のマネジメント・システムが同時に採用されている。従来は各マネジメント・システムの運用を担当する管理部門の責任の下で,それぞれのマネジメント・システムが責任部門個々の方針を反映して独立的に運用されていたが,近年,全社の戦略に基づいてマネジメント・システムを互いに連動させることが重視されている。個別に運営されていたマネジメント・システムを,トップマネジメントの戦略の元に統合化し,各マネジメント・システムの方向性を一致させることが,組織の戦略共有に効果的であると思われる。
     本稿では,中期経営計画,予算管理,目標管理の3つのマネジメント・システムについて,マネジメント・システムを相互補完的に運用することが個々のマネジメント・システムの戦略共有効果を高める働きがあることを確認した。
  • 齋藤 雅子
    2005 年 2005 巻 6 号 p. 103-114
    発行日: 2005年
    公開日: 2021/09/01
    ジャーナル フリー
     ジョイント・ベンチャー(JV)の主要概念である共同支配の定義は企業結合におけるパーチェス法の回避問題に影響を及ぼしている。国際会計基準第31号(IAS 31)における共同支配の定義改訂をめぐっては国際財務報告基準第3号(IFRS 3)検討に向けた企業結合第1フェーズにて議論され,IFRS公開草案第3号(ED 3)で示された定義が改訂された。しかし,そもそも共同支配概念はどのように理解されるべきかが明らかではなく,特に支配概念との関係が明確ではないと指摘されている。本論文では,IASBの定義改訂の経緯を概観した上でIFRS 3を中心に共同支配概念を検討し,支配概念との関係を整理する。
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