2016 年 2016 巻 17 号 p. 70-83
支出の有無または金額,時期もしくは支出先に不確実性のある将来の支出(将来支出)について,現行アメリカ会計基準にはSFAS5型とSFAS143型の2 つの会計処理方法が存在する。本稿の目的は,将来支出に係る会計処理方法が2 つ存在する理由を説明することである。この目的のために,環境回復負債と受給権未獲得従業員解雇給付の2 つのトピックを題材とした分析を行い,二次的な意思決定における考慮事項と主たる意思決定における必然的考慮事項という異なる事象に対する異なる会計処理として2 つの会計処理方法が存在しているとの仮説を導出した。さらに,この仮説について,将来支出に係る現行アメリカ会計基準の全体に対する検証を行い,その妥当性を確認した。