日本救急医学会関東地方会雑誌
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Print ISSN : 0287-301X
症例報告
原因不明の塞栓症からTrousseau症候群が考えられた2例
倉本 悠里千葉 宣孝杉田 篤紀賀川 哲夫馬渡 貴之齋藤 豪櫻井 淳木下 浩作
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2018 年 39 巻 2 号 p. 291-294

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抄録

症例1は50代女性。呼吸困難で受診し, 心臓超音波検査で下大静脈から右心房入口部にかけて限局して浮遊する構造物があった。抗凝固療法を開始したが, 精査中に肺動脈に塞栓し, 循環動態が破綻し死亡した。CT検査で乳腺腫瘍があり, 生検の結果は浸潤性乳管癌であった。症例2は80代女性。意識障害で入院し, 頭部MRI検査で急性期多発脳梗塞があった。入院中に下血があったためCT検査を施行すると大腸腫瘍があった。下部消化管内視鏡検査による生検の結果は腺癌であった。2症例とも原因不明の塞栓症であり, 悪性腫瘍が存在していたことからTrousseau症候群を考えた。Trousseau症候群は原疾患の治療が重要となるため, 原因不明の血栓塞栓症例では, 治療と並行してTrousseau症候群を考え悪性腫瘍の精査を行うべきと考える。

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