抄録
海水は地球上のすべての元素を含んでおり、主要元素が海洋に均一に分布するのに対し、微量元素の濃度と分布は海洋と地殻および大気との境界での物質収支(河川、大気塵、熱水活動など)や海水の循環、化学反応、生物活動などの影響を受け様々に変化している。微量元素の中で生物にとって必須性又は毒性の高い元素を生物活性微量金属(bioactive trace metals)と呼んでいる。生物活性微量金属は様々な形態で海水中に存在し、それによって化学反応性や生物に対する効果が異なる。そのため海洋学における海水・物質循環のトレーサー、生物地球化学における海洋生物の微量栄養塩および古海洋のプロクシとして重要である。特にAl, Mn, Fe, Cu, Zn, Cd, Pbなどの微量元素は国際共同観測計画GEOTRACESにおいてキーパラメータに選ばれている。そこで本研究では日本海での生物活性微量金属の存在状態について調べ、その分布と挙動について検討する。