本研究では、福祉マンパワー施策における福祉教育の位置づけを歴史的に明らかにすることと、ネオリベラリズムが引き起こすボランティアに関する問題について、実践者・研究者側から検討・構築されてきた福祉教育の概念規定から考察することを目的とした。研究の結果、基本的な流れとして、福祉教育はマンパワーとしてのボランティア養成の方策として位置づけられてきたこと、それは主として高齢者に関わるボランティア養成の方策として考えられてきたことを明らかにした。ボランティア活動については肯定的評価と否定的評価の両方の側面があるが、ネオリベラリズムとの共振問題について、福祉教育は悪い意味で加担するのではないこと、むしろ回避する要素を含んでいることも明らかにした。ただし、ネオリベラリズムの共振問題を回避する要素を含む福祉教育の概念規定は、実践の中で骨抜きにされる可能性があるので、注意を要する。