2022 年 38 巻 p. 31-46
近年、「非認知的スキル」の重要性が国際的に注目されている。サービス・ラーニング(Service-Learning;SL)は、非認知的スキルの育成に寄与することが示唆されているものの、日本の初等教育における SL の効果や価値は十分に評価されていない。そこで、本稿は SL を総合的な学習の時間(総合的学習)に位置付ける SL 型総合的学習が育成する非認知的スキルについて検討した。その結果、全体として、メタ認知方略を除くすべての非認知的スキルが低下する中で、SL 型総合的学習に自覚的に取り組んでいる児童ほど、メタ認知方略の獲得や動機付け(期待価値)が上昇し、他のスキルも維持されることが示された。新型コロナウイルス感染症の拡大の影響を大きく受ける中で、SL の充実が、将来の見通しが立たず、他者とのかかわりが極端に制限される未曾有の状況において、自分自身を適切にコントロールしながら、未来への期待を高めていく児童の育成に寄与する可能性が示唆された。