日本福祉教育・ボランティア学習学会研究紀要
Online ISSN : 2432-4094
Print ISSN : 2432-4086
多文化交流におけるコンヴィヴィアルな空間の意味
〈当事者性の邂逅〉に着目して
後藤 聡美
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2022 年 39 巻 p. 53-66

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抄録

本稿は、多文化共生社会の創成に求められる交流実践の意義および実践上の観点を、福祉教育・ボランティア学習研究において深化されてきた当事者性概念を用いて論じたものである。多文化共生の実相化には、政策的なアプローチだけでなく、具体的な人・コミュニティの接触場面から生まれる学びを重視する学習論的アプローチが不可欠である。本稿では、異なる価値観を有する者の交流の中で生じる緊張・警戒状態あるいは管理・依存状態が一時的に解かれるコンヴィヴィアルな空間に注目する。そこでは、交流参加者の複数の当事者性の各要素が触れ合う〈当事者性の邂逅〉が生まれており、 それが多文化交流実践において意外性を伴う出会いを誘発する役割を果たすことを明らかにした。参与観察およびインタビューから〈当事者性の邂逅〉の内実を整理し、多文化共生の創成に資する実践の観点を提示した。

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© 2022 日本福祉教育・ボランティア学習学会
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