抄録
コロナ禍において、対面でのケアを含むボランティア活動は休止を余儀なくされた。この状況を継 続したかどうかという二元論で捉えるのではなく、ボランティア学習のゆらぎととらえ、ケア倫理の枠 組みを援用しながらゆらぎの二重性について考察した。
第1層として、ボランティア活動者と当事者の間のケアリング関係の網目のなかで、個別の生成的コ ミュニケーションが紡ぎ上げられてきた活動が不可になったことに対する葛藤としてのゆらぎがあっ た。第2層として、社会全体が当事者性を帯びたコロナ禍で、感染を抑え込むという普遍的な正義のも と、対面ボランティア活動が批判の対象となったことにより活動の意義を問い直すゆらぎがあった。こ の二重のゆらぎの経験を語ることにより、個別的で濃密なケアの意義を、普遍的な政策としての包括的 支援体制構築に連動させていくことが可能となり、動的平衡状態としての地域での活動の継続を考え ることができる。