生命倫理
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報告論文
流産を体験した母親の思い
‐フォーカスグループインタビューを通して‐
渋谷 えみ
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2015 年 25 巻 1 号 p. 87-95

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抄録

 流産を体験した母親の思いを明らかにするために5名にフォーカスグループインタビューを行い、語りのテーマ(流産が判明した時から処置に至るまでの思い、子どもを亡くしてから現在に至るまでの思い)を明らかにすることを目的とした。その結果、【時を経ても変わらず続く悲しみと罪悪感」【病院での対応は癒えない心の傷と憤りを残す」【我が子に対する最後の望み」【周囲の人の言動で救われる」【家族との意見の相違に傷付く」「気持ちが落ち着く方法で心を癒す」「悲しみと共に歩みながら希望をみつけていく」が抽出された。母親にとって流産による我が子の死は、悲しみを表出する機会が少なく、孤独感が増し、時を経ても受け止められない事実であった。しかし、その一方で我が子の死を否定せず、時には悲しみとともに生きて行くことを望んでいた。医療者はその思いを汲み、亡くなった子どもと共に過ごした日々を回想できるようなサポートも必要と考える。

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