2022 年 32 巻 1 号 p. 49-59
わが国の医療機関において臨床倫理委員会(HEC)と研究倫理審査委員会(REC)が独立する機運が見られる中で、2020年7月から9月にHECの実態調査(質問紙調査と委員会規程の分析調査)を実施した。がん診療連携拠点病院等447病院を対象にし、質問紙回収率は35.8%、規程収集率は24.4%であった。最も重要な調査結果は以下の点である。質問紙調査への回答で「臨床倫理の問題を扱う専門委員会として設置される委員会」との回答は96件(67.1%)である一方で、収集した109件の規程を分析すると、HECとして認められる委員会の規程は46件(42.2%)であった。すなわち、自らの委員会をHECと認識する割合と、規程上HECと筆者が認めた割合には開きがある。そこで、本稿では、質問紙調査の結果について、全ての回答と規程上HECと認められる委員会の回答を並記し、特にHECの実態にフォーカスした。また、HEC規程46件を対象に定められる内容・項目を確認した結果を示す。これらの調査結果に基づき、HECにフォーカスした調査の必要性やHEC の実態に関する考察を加える。