2022 年 32 巻 1 号 p. 60-67
本研究は、患者の権利や尊厳を擁護する看護師の役割遂行を評価する保護的な看護アドボカシー尺度の日本 語版の作成を目的に、Hanks (2010) が開発したProtective Nursing Advocacy Scale (PNAS) の日本語版の内的整合性・構造的妥当性の検討を行った。全国の手術室看護師に属性および37項目5段階のリッカートスケールで質問紙調査を行い、443人を分析対象とした。主因子法プロマックス回転による探索的因子分析の結果、4因子24項目が採択された。また、信頼性を確認した結果、尺度全体のCronbach's α係数が0.85で、下位尺度で0.73~0.90であった。確認的因子分析では適度な適合性が示された。尺度の信頼性と妥当性は統計的 に許容範囲内であることが確認され、看護師が患者の権利や尊厳を擁護する役割遂行の程度を知る指標として活用できる。