2023 年 33 巻 1 号 p. 13-21
近年、医療福祉分野では、様々な応用倫理学的課題が提示されているが、リハビリテーション医学の倫理的特性に関する議論は少ない。
リハビリテーション医学の特異性は、パターナリズム的な「キュア」やリバタリアニズム的な「ケア」ではなく、リバタリアン・パターナリズムに準拠した「セラピー」として実施される点にある。
また、リハビリテーション医学の治療効果を最大化するためには、患者の個別性や様々な交絡因子を考慮した治療プログラムを、治療者と患者が共同的に作成していく必要がある。そのため、リハビリテーション専門家には、患者の能動性を促進するための対話能力が求められる。
以上より、リハビリテーション医学の科学性や倫理性の成立には、リハビリテーション専門職のリバタリアン・パターナリズム的な臨床態度と患者との対話能力が必要となる。