2023 年 33 巻 1 号 p. 22-32
本研究の目的は慢性腎臓病患者と医師が、腎代替療法選択に向けた話し合いで何を大切にしているかを明らかにし、患者からみたよりよい話し合いについての示唆を得ることである。腎代替療法選択に向けて話し合い中である首都圏の1病院の患者と医師(各 10名) に半構造化面接を行い、患者と医師の価値についてクリッペンドルフの内容分析手法にて分析した。研究期間は2021年6月から2022年1月であった。結果、話し合いにおいて患者と医師ともに「(患者の) 自律性」「(患者の) 個別性」「(患者と) 医師との関係性」を大切にしていることが示された。患者と医師の相違点として、患者は「医師の人間性」や「医師の応答性」に加え「透析導入を遅らせること」、一方、医師は「患者の透析に対する理解と納得」「家族の参与」「話し合う環境」に価値をおいていた。さらに、患者と医師で話し合い自体に対する認識や捉え方が異なることも示された。それゆえ、医師は医療面に限らず、患者が話し合いで大切にしていることを見極め、互いの話し合いに対する認識も確認しながら進めていく必要性が示された。