動物の行動と管理学会誌
Online ISSN : 2435-0397
原著論文
音声によるカラスの防除対策が放牧ブタに与える影響
浅利 裕伸伊藤 鈴夏
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2024 年 60 巻 1 号 p. 11-18

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抄録

カラス対策に用いられる複合音声はカラスの防除において高い効果が示されているが、家畜の中でもブタは刺激に敏感であるため、音声がブタに影響を与えるかもしれない。本研究では、音声防除による放牧ブタへの影響を明らかにするために、音声非供与期間(2021年7月26日~8月4日)と音声供与期間(9月22日~10月1日)での雄10個体の行動時間を比較した。音声供与によって休息行動、探査行動、摂食行動の各時間割合に大きな変化はみられなかった。また、音声供与による単発的な行動はみられなかった。そのため、カラス防除のための複合音声が放牧養豚のブタに与える影響は極めて小さいと考えられた。ただし、音声供与の開始日には探査行動時間の増加と休息行動時間の減少がみられたことから、音声はブタの警戒行動をもたらす可能性があるが、音声供与2日目には行動時間割合に変化がなかったため音声に対する慣れも生じていたかもしれない。

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© 2024 動物の行動と管理学会
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