2024 年 32 巻 2 号 p. 42-52
本論の目的は,初回面接で実施される状態不安のダイナミック・アセスメント結果から,心理療法のアウトカムを予測可能であるのか検討することである。57人の高特性不安者を対象として初回面接の冒頭と末尾で状態不安の変化量を測定し,その後4回のセッションからなるブリーフセラピーに導入した。セラピーが終結してからおよそ1か月後に効果を検討したところ,特性不安の低減と不安静穏化機能の改善が認められただけでなく,初回面接において状態不安が低減された対象者ほどセラピーによって特性不安も低減される傾向がみられ,初回面接の状態不安の変化量がセラピーのアウトカムを予測する可能性が示唆された。