ブリーフサイコセラピー研究
Online ISSN : 2432-9371
Print ISSN : 1880-5132
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追悼
研究報告
  • 田澤 安弘
    2024 年 32 巻 2 号 p. 42-52
    発行日: 2024/03/31
    公開日: 2024/04/11
    ジャーナル フリー

    本論の目的は,初回面接で実施される状態不安のダイナミック・アセスメント結果から,心理療法のアウトカムを予測可能であるのか検討することである。57人の高特性不安者を対象として初回面接の冒頭と末尾で状態不安の変化量を測定し,その後4回のセッションからなるブリーフセラピーに導入した。セラピーが終結してからおよそ1か月後に効果を検討したところ,特性不安の低減と不安静穏化機能の改善が認められただけでなく,初回面接において状態不安が低減された対象者ほどセラピーによって特性不安も低減される傾向がみられ,初回面接の状態不安の変化量がセラピーのアウトカムを予測する可能性が示唆された。

  • 中野 葉子
    2024 年 32 巻 2 号 p. 53-63
    発行日: 2024/03/31
    公開日: 2024/04/11
    ジャーナル 認証あり

    本研究では,トラウマケアにブレインスポッティング(BSP)を用いたDV被害女性の事例を報告した。ドロップアウトを避けるための配慮と,共感的な表現による心理教育をとおして,クライエント(Cl)に被害者としての当事者性が芽生え,BSPの導入に至った。6回のBSPセッションののち,DV場面を想起した際の恐怖と不快な身体感覚が消失し,「過去の出来事は『悪い思い出』のひとつ」という認識の変化があった。過去の成功体験を思い出すなかで,Clは自信と主体性を回復することができた。そこには,強い恐怖感から不動化し,トラウマ処理が停滞した場面でのセラピストの介入が寄与したと考えられる。BSPは,本事例のように同居を継続し,さまざまな制約があるなかで,「逃げない/逃げられない」DV被害者が自分のために意思決定していく力を引き出すトラウマケアのひとつとして期待できる。

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