抄録
自己組織化の有名な例として,植物の光合成がある.特に,サボテンなどの多肉植物は,CAM型光合成(crassulacean acid metabolism,ベンケイソウ型有機酸代謝)と呼ばれる乾燥環境に高度に適応した炭素代謝機構を進化させている.Blasiusらは,1つの細胞の生体時計の機構を4次の非線形微分方程式としてモデル化している.本論文では,このモデルをもとに,細胞質内二酸化炭素濃度および細胞質内リンゴ酸濃度が測定可能という条件下で,液胞内リンゴ酸濃度と液胞膜内リン脂質分子の輸送現象を特定する膜並び非線形特性を推定するオブザーバを提案し,MATLABシミュレーションを行った。本論文の特徴は,Critical Manifoldを用いることにより,観測量を1つ減らすことができること,外気温度に依存せずに,代数的に一部の内部状態を推定できること,さらにオブザーバの導入により,代数的な推定値よりも高周波振動を抑えられ,系が振動している場合でも,膜輸送の非線形特性をスプライン関数の基底関数展開として推定することが可能になることである。