抄録
【目的】心臓手術を受けた患者の回復意欲の構造を明らかにし、回復意欲を支える看護援助の示唆を得る。
【方法】心臓手術を受けた患者9名を対象に参加観察、半構成的面接を行った。分析はグラウンデッド・セオリー・アプローチを参考に行った。
【結果】心臓手術を受けた患者の回復意欲の構造は、≪自分らしく生きる≫を中軸に<生の危うさから生きるための挑戦>を基盤として、<回復への自発的な対処>を経て、<生の獲得による健康の維持に向けた生活を見直す意識>へ発展するひとつの過程であった。そして<いたわり合う家族>と<最善を尽くす医療者>の支持によって、回復意欲は強化することが明らかとなった。さらに患者は<回復への自発的な対処>を通して回復意欲を高めていた。
【結論】回復に向けた自発的な対処を促すためには、手術後の予測やイメージにつながる情報提供、身体的な苦痛の緩和、そして看護師が側にいる安心感を得る援助を提供する必要性が示唆された。