2017 年 13 巻 3 号 p. 11-20
本研究はICUにおける看護師にとってのベッドサイドの写真の意味を明らかにし,看護介入としての写真活用の示唆を得ることを目的とした.ベッドサイドに写真のある重症患者の受け持ち経験のある看護師を対象に半構造化面接法を用い,修正版グラウンデット・セオリー・アプローチを参考に分析した.
その結果,看護師にとっての写真の意味は,《個人的背景や病棟文化から影響を受ける写真に対する捉え方》《生命の危機に瀕している患者の体験そのものに関心が寄る見え方の変化》《複雑な影響を考慮しその人らしい生活を尊重しようとする思考》《写真が触媒となる生活者としてのその人を尊重した看護行為》《引き起こされる悲喜交々》の5つの局面が抽出された.ICUにおける看護師にとってのベッドサイドの写真は,看護師の患者に対する見え方を変化させ,患者中心のケアが家族とのパートナーシップを築きながら実現できる意味を持っていた.写真は用い方により,善いものにも,悪いものにもなる諸刃の剣であり,家族の危機の段階や家族システムによって異なる写真の意味を認識し,意図的に写真を用いることの重要性が示唆された.