2018 年 14 巻 p. 57-65
本研究はICUにおける家族にとってのベッドサイドの写真の意味を明らかにし,看護介入としての写真活用の示唆を得ることを目的とした.ベッドサイドに写真を持参した重症患者の家族を対象に写真の意味について修正版グラウンデット・セオリー・アプローチを用いてデータ収集し分析した.
その結果,家族にとっての写真の意味は,《日常の世界や家族との絆を繋ぎとめる証》《写真持参に伴う苦慮》《写真をきっかけにもたらされる哀しみ》《写真をきっかけにもたらされる喜び》《回復と回復支援への願いと危惧》の5つの局面が抽出された.
写真は,家族の保証や接近のニーズを満たし予期悲嘆を促進させ,衝撃を受けている時には危機を助長させうる意味を持っていた.家族の危機の段階や家族システムによって異なる写真の意味を認識し,意図的に写真を用いることの重要性が示唆された.