日本顎咬合学会誌 咬み合わせの科学
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症例報告
ライフワークとしての歯科衛生士像を考える
─セルフケアが困難でありながらSupportive Periodontal Therapy(SPT)により歯周組織の改善が得られた症例を通して─
西窪 結香中島 靖子窪川 恵太吉成 伸夫
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2010 年 30 巻 3 号 p. 236-244

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抄録
本稿では,軽度慢性歯周炎およびブラキシズム(クレンチング)の診断下,強い嘔吐反射のため十分なセルフケアの確立が困難な歯周病患者に対するアプローチ,およびサポーティブペリオドンタルセラピー(SPT)の重要性を経験した症例報告を通して,ライフワークとしての歯科衛生士像を考える.
我が国は2007年より超高齢社会を迎えた.平成17年歯科疾患実態調査1)によると,20歯以上の歯を有する者の割合はどの年代においても30年前に比べ大幅に増加しており,80歳以上でも25%を超える状態となった.しかし,国民の健康意識が高まる中で,機能できる歯が残っている高齢者は少なく,多くの高齢者が何不自由なく食事ができているとは言えないのが現状である.
SPT は単に歯を保存するだけに止まらず,機能できる,すなわち咬める歯を維持する意味で,国民のQuality of Life(QOL)の向上において大変重要な治療であり,歯科衛生士がライフワークとして大いに活躍できるfield であると考える.
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© 2010 特定非営利活動法人 日本顎咬合学会
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