2011 年 31 巻 1-2 号 p. 28-41
インプラントの上部構造の作製法には支台歯形成してセメンティングする方法と,スクリューリテイニング式とがある.補綴物装着後の補綴物の補修やメインテナンスを考慮すると,スクリューリテイニング式の方が有利である.特に少数のインプラントで多数歯を修復する場合には特に有効である.ところが,従来の鋳造法でスクリューリテイニング式の補綴物を作製する際には,ロウ着の手間がかかる上,適合や強度に問題があった.
今世紀から,Nobel Biocare 社のPIB(Procera Implant Bridge)に代表される,CAD/CAM 方式による,Computer numeric controlled(CNC)-milled frameworks,つまりコンピュータ制御の削りだしフレームによる上部構造の作製法が長期的に臨床応用されるようになった.2009年になると,PIB(Nobel Biocare 社,Sweden)だけではなくI-Bridge(Bio-Main 社,Sweden)もCNC-milled frameworks として臨床応用されるようになった.
今回,PIB やI-Bridge でインプラントの上部構造を作製した症例486例について補綴物装着後,約10年から半年経過した症例について経過観察した.そこで,CNC-milled frameworks の作製法やインプラントの補綴を成功させる方法についてご紹介し,この方法で補綴を利用したインプラントの臨床的な生存率について検証したい.使用したインプラントはすべてNobel Biocare 社製で,本数は1,563本であった.予後不良で撤去したインプラントは5本で,臨床的なインプラントの生存率は約99.93%であった.比較的良好な安定性が得られていると思われるが,これはこの方法の適合精度が良好なことと,フレームの強度が十分あることによると思われる.