日本顎咬合学会誌 咬み合わせの科学
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31 巻 , 1-2 号
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原著論文
  • 俵木 勉, 重田 浩貴, 新居 智恵, 町野 守
    2011 年 31 巻 1-2 号 p. 12-20
    発行日: 2011/08/30
    公開日: 2014/01/14
    ジャーナル フリー
    インプラント治療における術前診査は,CT を用いることにより精度が飛躍的に向上し,より安全安心なインプラント埋入が可能となった.しかしながら,下顎骨の断面形態や下顎管終末の走行形態を把握していないと,出血や神経障害といった重大な偶発症を引き起こすこととなる.これまでにも,献体による下顎管の走行形態の研究や,CT を使用して下顎骨の断面形態を調べた報告は認めるが,CT のパノラミック画像,クロスセクショナル画像,さらに3D 画像を用いた報告はみられない.そこで本研究は,105人の患者の下顎骨の断面形態と下顎管の終末の走行形態について,CT の有効性を調べた.その結果,CT 撮影によるクロスセクショナル画像でのみ見ることができる下顎骨断面形態のうち,インプラント埋入で注意が必要なひょうたん型の形態が30.5% 存在することがわかった.また,パノラミック画像と3D 画像から平均で8mm,最長で21mm の下顎管の切歯枝を見出すことができた.これにより,インプラント埋入において,CT による術前診断は必須の項目であり,さらに,CT を用いた診断がより緻密な治療計画の立案を可能とすると考えられる.
  • 英保 裕和
    2011 年 31 巻 1-2 号 p. 21-27
    発行日: 2011/08/30
    公開日: 2014/01/14
    ジャーナル フリー
    シーラントは齲蝕予防に有益である.シーラントの保持や封鎖を確実にして長期的に安定した予後を得るためには,防湿と裂溝の清掃を確実に行うことが肝要である.推奨される防湿と裂溝の清掃として,<ラバーダム装着→ブラシによる機械的清掃→超音波洗浄→次亜塩素酸ナトリウムと探針による化学的清掃>という一例があげられる.
    この術式は理想的ではあるが複雑で時間がかかり,小児患者には負担が大きい.そこでわれわれは,シンプルでチェアータイムが短く,長期的に安定した予後が得られるシーラントの術式の確立を試みた.
    まず,防湿装置としては多機能バキュームチップZOO(APT)を採用した.本装置は①歯の萠出状態に関係なく使用できる,②短時間で装着できる,③高い防湿効果がある,という特徴がある.裂溝の清掃には機械的清掃と超音波洗浄を省略して,10%次亜塩素酸ナトリウムゲル(AD ゲル,クラレ)と先端の鋭利な#3A の探針によるスクラッチングの併用のみを採用した.なお,本法で裂溝が充分に清掃に有効されるかを確認するため,歯垢染色した下顎大臼歯30歯において評価した.その結果,1分間のAD ゲル処理で平滑面のプラークはほぼ完全に溶解され,小窩裂溝深部のプラークは#3A の探針によるスクラッチングの併用が有効であることがわかった.エッチング剤・シーラント材料は共に小窩裂溝深部にまで到達できる流動性の高い製品を選択した(表面処理液レッド,サンメディカル, コンシール F, SDI).
    本術式にて下顎大臼歯にシーラントを行った症例を示す.本症例は7年経過後もシーラントの破折,脱離を認めず,齲蝕の発生もなく経過良好であった.
  • 井上 秀人, 中川 隆志, 河野 法行, 丸川 めぐみ, 田中 栄輔, 坂本 義浩
    2011 年 31 巻 1-2 号 p. 28-41
    発行日: 2011/08/30
    公開日: 2014/01/14
    ジャーナル フリー
    インプラントの上部構造の作製法には支台歯形成してセメンティングする方法と,スクリューリテイニング式とがある.補綴物装着後の補綴物の補修やメインテナンスを考慮すると,スクリューリテイニング式の方が有利である.特に少数のインプラントで多数歯を修復する場合には特に有効である.ところが,従来の鋳造法でスクリューリテイニング式の補綴物を作製する際には,ロウ着の手間がかかる上,適合や強度に問題があった.
    今世紀から,Nobel Biocare 社のPIB(Procera Implant Bridge)に代表される,CAD/CAM 方式による,Computer numeric controlled(CNC)-milled frameworks,つまりコンピュータ制御の削りだしフレームによる上部構造の作製法が長期的に臨床応用されるようになった.2009年になると,PIB(Nobel Biocare 社,Sweden)だけではなくI-Bridge(Bio-Main 社,Sweden)もCNC-milled frameworks として臨床応用されるようになった.
    今回,PIB やI-Bridge でインプラントの上部構造を作製した症例486例について補綴物装着後,約10年から半年経過した症例について経過観察した.そこで,CNC-milled frameworks の作製法やインプラントの補綴を成功させる方法についてご紹介し,この方法で補綴を利用したインプラントの臨床的な生存率について検証したい.使用したインプラントはすべてNobel Biocare 社製で,本数は1,563本であった.予後不良で撤去したインプラントは5本で,臨床的なインプラントの生存率は約99.93%であった.比較的良好な安定性が得られていると思われるが,これはこの方法の適合精度が良好なことと,フレームの強度が十分あることによると思われる.
症例報告
  • Part Ⅰ(前編)人工歯根療法時代の到来─人工歯根療法の基礎研究
    西原 克成, 手嶋 通雄
    2011 年 31 巻 1-2 号 p. 42-57
    発行日: 2011/08/30
    公開日: 2014/01/14
    ジャーナル フリー
    人間の生命を扱う医学と生命科学で最も重要な考えは,ミトコンドリアのエネルギー代謝と環境エネルギーと動物自身の動きの生体力学エネルギーであるが,このエネルギーの概念が今日完璧に見過ごされている.筆者は医学・生命科学にこれらの考えを導入して新しいエネルギーに立脚した「顔と口腔の医学」をまとめ,出版した.本稿では人工歯根療法について述べる.エネルギーを導入した新しい医学の考えに立って筆者は,骨癒着型のインプラントに代わって新型の歯根膜(歯周線維組織)を持つ釘植型人工歯根を開発した.これまでのすべてのインプラントには歯周支持構造の固有歯槽骨・歯周靭帯線維関節が欠けていたので,歯を支える骨組織の改造システムがなかった.筆者は,生体力学の観点から,人工歯根の材料,形状,機能効果を研究し,セメント質・歯周靱帯線維関節・固有歯槽骨を機能下で発生させる特徴的波状形のアパタイト焼結体とチタンの人工歯根を開発した.これらの人工歯根を成犬と日本猿に植立して,基礎的動物実験を行った後に生体力学研究を行った.人工歯根植立術後に連続冠で固定し,直後から咀嚼させるのであるが,咀嚼運動エネルギーによって生ずるハイドロダイナミクスは流動電位を随伴して生じ,この電位によってセメントブラストと固有歯槽骨と歯周靱帯線維関節が毛細血管とともに誘導される.これらの光学顕微鏡とSEM(走査型電子顕微鏡)およびマイクロアナライザーによる病理組織学的研究につづいて有限要素解析FEA 法を用いて釘植型と骨癒着型の人工歯根の比較研究および人工歯根の形状効果および機能効果に関する研究を行った.
  • Part Ⅱ(後編)赤ちゃんの「吸啜と鼻呼吸」は咀嚼と噛み合わせ運動に移行する
    西原 克成
    2011 年 31 巻 1-2 号 p. 58-75
    発行日: 2011/08/30
    公開日: 2014/01/14
    ジャーナル フリー
    医学研究の中に環境エネルギーを導入して著者はエネルギーに立脚した「顔と口腔の医学」を創始し出版した.今日のわが国の乳児期の育児法を新しい医学の観点から概観し,わが国の伝統的育児法にてらして誤った方法を正すことが急務である.誕生直後の赤ちゃんの主なふるまいは,吸啜と手足の動きをともなった鼻呼吸と排泄である.現代の従来型のわが国の乳幼児の育児法には,赤ちゃんに影響する環境エネルギーと哺乳動物の乳児の特徴に関する注意点が完璧に欠落している.すべての哺乳動物には,種特異性の母乳吸啜期間がある.ヒトの授乳期間は2歳半から3歳までである.ヒトの子が授乳期中に母乳の代わりに食物を食べれば,病気になり,重篤なケースでは死亡することもある.
    非常に早期に食物を幼児に与えても,咀嚼できずに丸呑みとなり容易に緑便となり,病気となる.その結果彼らは口呼吸となる.わが国では,多くの小学生が不活化し無気力化し,やがてひきこもりとなる.わが国では,1965年まで続けられていた伝統的な育児法を復活させなければならない.充分なる吸啜運動トレーニングを赤ちゃん時代に積んでいれば,鼻呼吸と吸啜運動がやがて正しい咀嚼運動に容易に受け継がれるのである.
  • ─包括歯科臨床的視点を取り入れて─
    坂田 輝之
    2011 年 31 巻 1-2 号 p. 76-84
    発行日: 2011/08/30
    公開日: 2014/01/14
    ジャーナル フリー
    歯牙喪失の原因は多種多様で,しかも多数歯欠損状態で長期間放置されれば,単に欠損補綴による対応だけで円滑な口腔機能を回復させるのは容易ではない.
    それら多くの症例では歯牙の病的位置異常,それに伴う歯列の乱れ,上下顎の咬合関係の変化,顎位の病的偏位といった多くの問題点を抱えており,より安定した機能を営む事ができる顎口腔にするためには包括的な視点が必要とされるからで,特に包括的歯科臨床において下顎位の重要性は高く,それに伴う咬合関係は齲蝕処置,歯内療法,歯周治療,にも少なからず影響を与えるものと考えている.
    また残存歯牙の数,位置,状態等によっては義歯による顎位の安定が難しい症例もあり,より確立された顎位の達成のためにインプラントを選択することとなる.
    今回,顎位の安定および機能回復目的にインプラントを用いるにあたり,矯正治療等も併用,模索した症例を呈示させていただき諸先生方のご批判をいただきたい.
  • 安光 秀人, 江原 雄二, 神田 省吾, 大西 吉之, 桑原 明彦, 山上 哲贒
    2011 年 31 巻 1-2 号 p. 85-99
    発行日: 2011/08/30
    公開日: 2014/01/14
    ジャーナル フリー
    骨および軟骨の修復における物理療法の研究は,1960年代から骨折後の修復に関する研究として行われてきた1).一方,超音波による骨折の治療は,1983年にDuarte がその効果性に関して報告した2)のに始まり,米国のEXOGEN 社が製作したSAFHS®が1994年にFDA より医療機器として承認されたことでその地位を確立した(図1).
    本邦でも2003年に水野らにより,遷延治癒骨折や偽関節の治療として80%以上の高い治癒率の報告3)がなされており,新鮮骨折(先進医療)や複雑骨折・難治性骨折(保険適応)など,さまざま骨折の治癒期間の短縮を目的に,20年以上も前から医療分野ではすでに認知されている(図2).
    また,骨が力学的環境に応じてその三次元構造を適応させる現象(Wolff の法則)4)と,骨へ加わる機械的ストレスにより損傷電流が発生する現象(骨の圧電効果)5,7)によって,イオンの流動が起こり,活動電位(streaming potentials)6,7)が発生して,骨・軟骨修復を活性化させることがわかっている.さらに,物理療法はサイトカインを刺激することで,骨芽細胞や破骨細胞の増殖を促し,骨形成を促進する8).
    骨修復の物理療法としては,(1)埋込式直流(totally or semi-invasive direct cuurent:DC),(2)静電結合電場(capacitive coupling electric field:CCEF),(3)パルス電磁場(pulsed electromagnetic fields:PEMF),(4)低出力パルス超音波(low intensity pulsed ultrasound:LIPU)に大別されるが,今回,理学療法の分野でも特に使用頻度が高い超音波治療器で,歯科用に開発された超音波骨折治療器(LIPUS or BR ソニック®)について,インプラント部周囲の骨組織の再生に関して若干の知見を得たので報告する.
  • 塩路 昌吾, 山西 泰史, 高橋 璋, 佐々木 高憲, 定永 健男
    2011 年 31 巻 1-2 号 p. 100-105
    発行日: 2011/08/30
    公開日: 2014/01/14
    ジャーナル フリー
    歯を喪失した後の歯槽骨の縮小は,下顎総義歯の安定を困難にしている.このような場合,ミニインプラントを使用することにより強い咬合力を得ることができる.
    下顎左右頤孔間に直径1.8mm のミニインプラント4本を植立.総義歯あるいはときにより部分床義歯に4個のO- リング付ハウジングを付着させて支持,維持,把持を強化させて安定を得ることができる.
    このインプラントの特徴は植立が簡単ことであるとともに,きわめて有効な方法である.実施にあたっては,充分な審査,診断,治療計画ご必要である.
  • 友安 正門
    2011 年 31 巻 1-2 号 p. 106-113
    発行日: 2011/08/30
    公開日: 2014/01/14
    ジャーナル フリー
    審美修復の理想として,歯牙形態・色調・排列・機能を天然歯に限りなく近づけるためには,対合歯との関係や隣在歯の色調・形態などに臨機応変に対応していくことが大切である.さらに,審美修復に用いられる材料および材料の利点,欠点についても知っておく必要がある.審美修復の最終到達地点は,審美的にも機能的にも患者の満足が得られることを目指す.オールセラミックの特性を生かすために金属製コアをファイバーポストコアへ変更し,患者の口腔内における理想的な環境,形態へ移行するため,プロビジョナルレストレーションで求めたサブジンジバルカントゥアを最終修復物へ移行する手順を報告する.
  • ─シェーグレン症候群の発見から学ぶ─
    安藤 陽子
    2011 年 31 巻 1-2 号 p. 114-118
    発行日: 2011/08/30
    公開日: 2014/01/14
    ジャーナル フリー
    近年,ドライマウスに罹患している患者数は800万人から3000万人と推定される.しかし,認知度は低く,病気という意識がないため,患者自身が日々の苦痛を症状として感じておらず,発見が遅れたりすることも少なくない.そのため,二次的な病態として現れた口腔内疾患から発見につながることもあり,歯科医療従事者としてはドライマウスの知識と理解は必要不可欠であると考える.
    本稿では,「歯肉からの出血」を主訴に当院へ来院し,口腔内診査を行った際の粘膜の乾燥状態や歯周治療,また問診等による“異変"からシェーグレン症候群の発見につながった症例を報告する.
  • 阿部 伸一
    2011 年 31 巻 1-2 号 p. 120-121
    発行日: 2011/08/30
    公開日: 2014/01/14
    ジャーナル フリー
  • 田口 明
    2011 年 31 巻 1-2 号 p. 122-125
    発行日: 2011/08/30
    公開日: 2014/01/14
    ジャーナル フリー
  • 1 歯周組織検査と臨床的パラメータ
    関野 愉
    2011 年 31 巻 1-2 号 p. 126-129
    発行日: 2011/08/30
    公開日: 2014/01/14
    ジャーナル フリー
  • チェアサイドからラボサイドへ
    池田 育代
    2011 年 31 巻 1-2 号 p. 130-133
    発行日: 2011/08/30
    公開日: 2014/01/14
    ジャーナル フリー
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