2014 年 34 巻 1-2 号 p. 50-56
咬合の安定に伴い下顎頭の吸収が止まり,その後継続的な修復反応を示した変形性関節症を経験したので,その概要を報告する.患者は,開口障害と関節痛を主訴に来院した22 歳の女性である.3 年前に歯科矯正治療が終了しているが,臼歯部のみ嵌合し,前歯部は開咬を呈していた.エックス線検査より変形性関節症と診断し,顎関節への過剰負荷を軽減するために保存療法を施行した.咬合が安定した段階で下顎頭の吸収が停止し,継続的な修復反応がみられた.咬合の安定が病態改善に影響を与える重要な因子となったものと考えられた.【顎咬合誌 34(1・2): 50-56,2014】