抄録
日常臨床において咬合再構成を行うにあたり,タッピングポイントを確認しながら,術前・術中・術後と診査し治療を行う.しかしながら一概にタッピングポイントと言われるもののポイントの三次元的な位置を示した報告は少ない.そこで今回われわれはデジタル式顎運動計測装置(アルクスディグマII:カボ社製)を用いタッピングポイントについて検討を試みた.また,正常者と顎機能障害者(以下,異常者)との比較も合わせて行った.被験者には正常者として20 ~40 代の男女20 名.異常者として顎口腔系機能障害の診断のため顎運動を計測した20 ~ 50 代の男女6 名を採択した.被験者にライトタッピング(以下,タッピング)を行わせ,データを採択した.被験 者ごとのタッピング5 回計測時の級内相関係数(ICC)は,正常者,異常者共に0.999 以上を認め高い再現性が確認された.また,両者のタッピングは収束を認めるとともに,両者間のタッピングのばらつきには有意差は認められなかった.これらの結果より,タッピングは機能的な水平的下顎位を採得する際の有用な指標であることを裏付けるものとなった.【顎咬合誌 34(3):218-224,2014】