日本顎咬合学会誌 咬み合わせの科学
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症例報告
薬物性歯肉増殖症を伴う慢性歯周炎患者への歯周治療
高木 小百合
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2017 年 37 巻 1-2 号 p. 57-

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抄録

薬物性歯肉増殖症は,抗痙攣剤や降圧剤,免疫抑制剤によって発症する副作用病変である.歯肉増殖は薬剤の副作用のみで起こるものでなく,不良な口腔衛生環境による歯肉炎が関与していることと,プラークコントロール不良により歯肉に炎症が存在する場合は,歯肉増殖の程度も重篤になりやすいため,歯科での適切な衛生指導と歯周治療を行うことによって,同症状は十分コントロールできるという臨床報告も多くみられる.症例は初診時53 歳男性,右上臼歯部および下顎前歯部の動揺と歯肉出血が主訴の症例.初診時所見において,同主訴部の下顎前歯部は歯肉増殖を認め,全顎的に中等度以上の慢性歯周炎の罹患を認めた.問診から,4 年前より脳出血,末梢神経障害,高血圧症などの全身疾患のため,多数の薬剤を常用薬として服用しており,歯肉増殖を副作用にもつカルシウム拮抗剤も処方されていた.患者の全身疾患の背景を考慮し,歯周治療での症状の改善を試みた.結果,口腔衛生指導と歯周基本治療で歯周環境の改善と良好な予後を維持できている現状を報告したい.

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© 2017 特定非営利活動法人 日本顎咬合学会
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