2018 年 38 巻 1-2 号 p. 34-
全顎的に重度慢性歯周炎に罹患し,残存歯の動揺により咀嚼障害を呈している患者に対して,歯周基本治療から歯周外科処置までの一連の歯周治療により炎症のコントロールを徹底した後に,歯周補綴を行うことで咀嚼機能の回復を試みた.患者の年齢を考慮すると治療終了後に経年的トラブルが起きてくることが想定されるため,治療再介入を容易にする目的で支台歯に内冠を装着し,最終補綴を術者可撤式とした.治療期間の制限がある中で,適切な咬合平面上および咬合面形態を与えることに重点を置いて全顎的治療に取り組んだ結果,咀嚼機能および健康の回復を行うことができた.【顎咬合誌 38(1・2):34-43,2018】