日本顎咬合学会誌 咬み合わせの科学
Online ISSN : 1884-8230
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ISSN-L : 1346-8111
38 巻, 1-2 号
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総説
  • 臨床を考える Clinical perspective of lithium disilicate glass ceramics for restorations
    俵木 勉, 重田 浩貴
    原稿種別: 総説
    2018 年 38 巻 1-2 号 p. 16-25
    発行日: 2018/05/28
    公開日: 2020/06/24
    ジャーナル フリー

    近年,歯科材料関連研究で接着,金属,セラミックス,コンポジット系材料,義歯関連材料などの開発や評価が多く行われてきたが,その中でも著しい進歩が見られるのが接着材料(方法)に関連したセラミックス材料の展開ではないか.現在,歯冠修復物に用いられるセラミックスは,シリカ系セラミックスと酸化セラミックスの二つに分けることができる.驚異的な物性をもつジルコニア(酸化セラミックス)に対して二ケイ酸リチウム(シリカ系セラミックス)は,臨床的に許容できる物性と寸法精度を持ち,かつ,審美的にも透明感,自然感があると考える. 【顎咬合誌 38(1・2):16-25,2018

原著
  • 松岡 力
    原稿種別: 原著
    2018 年 38 巻 1-2 号 p. 26-33
    発行日: 2018/05/28
    公開日: 2020/06/24
    ジャーナル フリー

    生体にとって適切な範囲を超えた機能的な力が,メカニカルストレスとして顎口腔系に与える影響について検討されている.そのような中,メカニカルストレスが加わったと思われる症例で,口腔外骨症があるものとない場合があり,生体応答には個体差があると考えた.今回,当院に来院した顎機能不全の疑いがある120 名の被験者から,メカニカルストレスに対する生体応答と臨床的な兆候に関して調査した.調査の結果から,自覚症状の発現に差が生じた.加えて症状を発しない症例では,歯と歯周組織に異常や外骨症を呈していた.顎口腔系は過剰な力に対して,受けた力を消耗するため各組織が破壊し代償する形で適応するものと,環境に対して生体を増強し抵抗するものが確認された.この差を十分考慮しながら治療計画を立てる必要があると思われた.今後,パラファンクションへの対策や適切なTCH のコントロールについて検討する必要がある.また,このような調査を多施設で行えれば,症状の発現機序に関する根拠が得られ,よりよい処置が提供できるようになると思われた.【顎咬合誌 38 (1・2):26-33,2018

症例報告
  • 北野 琢也
    原稿種別: 症例報告
    2018 年 38 巻 1-2 号 p. 34-
    発行日: 2018/05/28
    公開日: 2020/06/24
    ジャーナル フリー

    全顎的に重度慢性歯周炎に罹患し,残存歯の動揺により咀嚼障害を呈している患者に対して,歯周基本治療から歯周外科処置までの一連の歯周治療により炎症のコントロールを徹底した後に,歯周補綴を行うことで咀嚼機能の回復を試みた.患者の年齢を考慮すると治療終了後に経年的トラブルが起きてくることが想定されるため,治療再介入を容易にする目的で支台歯に内冠を装着し,最終補綴を術者可撤式とした.治療期間の制限がある中で,適切な咬合平面上および咬合面形態を与えることに重点を置いて全顎的治療に取り組んだ結果,咀嚼機能および健康の回復を行うことができた.【顎咬合誌 38(1・2):34-43,2018

  • 前岡 遼馬
    原稿種別: 症例報告
    2018 年 38 巻 1-2 号 p. 44-51
    発行日: 2018/05/28
    公開日: 2020/06/24
    ジャーナル フリー

    欠損補綴治療に対して,インプラント治療を選択する機会が増えている.しかし,患者の希望や経済的背景などの障壁が多いこともあり,インプラント治療が行えない症例も多い.そこで,欠損に対しての一般的なアプローチとしては,ブリッジ補綴治療,可撤性義歯補綴治療,自家歯牙移植,放置が考えられるが,移植以外の治療法では他の残存歯に力の負担を強いる場合があり,さらなる欠損を招くことが考えられる.一方で自家歯牙移植を選択した場合,ドナー歯の状態にもよるが,欠損に対して隣在歯への維持を求めることなく,単独での欠損補綴処置を行 える可能性が高い.今回,6 の保存不可能な歯根破折に対して,上顎右側の埋伏智歯を同部に移植処置を行った. 理想的な治癒像は得られていないが,症例を通して処置の難しさ,適応の判断について考察した内容を報告する.【顎 咬合誌 38(1・2):44-51,2018

  • 小野寺 良修
    2018 年 38 巻 1-2 号 p. 52-56
    発行日: 2018/05/28
    公開日: 2020/06/24
    ジャーナル フリー

    インプラント治療の普及とともにインプラント周囲疾患も増加してきている.近年,インプラント周囲疾患に関する多くの報告がなされ,大いに参考になっている反面,これらのデータは異なった国や人種,生活環境や医療保障制度,術者やその治療方法,技術などに基づいたものであり,また分析しているサンプル数も異なるため,インプラント周囲疾患の発症率について標準化して評価することが難しい.統計結果を解釈,考察,共有して臨床に反映していくことが望ましい.そこで本研究では,まず,自院での実態を知るために,自院で行ったインプラント治療におけるインプラント周囲疾患の発症率について分析を行ったので報告をする.【顎咬合誌 38(1・2):52-56, 2018

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