日本顎咬合学会誌 咬み合わせの科学
Online ISSN : 1884-8230
Print ISSN : 1346-8111
ISSN-L : 1346-8111
総説
ダイレクトボンディングの接着
田上 順次
著者情報
ジャーナル フリー

2022 年 41 巻 3 号 p. 201-207

詳細
抄録

ダイレクトボンディング修復における接着に際しては,リン酸エッチングを行うものとセルフエッチング技術を用いるものに大別できる.リン酸エッチングを象牙質に行うと,非処理象牙質表面の脱灰が深くまでおよび,露出したコラーゲン線維の層にボンディングレジンが十分に浸透しない.その結果このコラーゲン線維層が長期的に劣化することが確かめられている.セルフエッチングによる接着材の中でも2 ステップのものでは,象牙質表面の脱灰層にボンディングレジンが十分に浸透して優れた長期接着耐久性を発揮する.1 ステップ型では特にエナメル質への接着性が十分でないことが多く,一般的にはリン酸によるセレクティブエナメルエッチングが推奨される.耐久性に優れた接着材層を形成すするためには,十分な光重合を心掛ける.窩洞形成においては,う蝕象牙質内層を保護することが歯髄保護につながる.窩洞内でのギャップ形成を抑制するためには,フロアブルレジンによるライニングを行うことが極めて効果的である.

著者関連情報
© 2022 特定非営利活動法人 日本顎咬合学会
前の記事 次の記事
feedback
Top