抄録
【目的】全部床義歯において義歯の安定は最重要な項目である.特に条件の悪い下顎について人工歯の排列位置の検討を行ったので報告する.【治療方法】教科書的に歯槽頂間線の法則があるが,この法則では義歯の安定を得ることはできない.今回,下顎前歯部はリップサポートを参考に(部分的フレンジテクニック),臼歯部はパウンドラインも考慮に入れながら,歯槽頂に排列した.その後,ロウ義歯にて安定を確認してから義歯を製作した.【結果】装着後,どの症例でも数回の調整を必要とするが,本法を用いると比較的容易に義歯の安定が得られ,良好な結果が得られた.【考察】本法により容易に適切なデンチャースペースを患者ごとに設定することが可能となり,義歯の安定をもたらしたと考えられる.