抄録
症例の概要:72 歳,女性.右下の大臼歯および左上大臼歯の喪失後5年間放置,開閉口時に左右顎関節部疼痛および雑音があり,嚙めないことを主訴に来院した.また,重度の咬耗のために審美障害が認められた.咬耗による咬合高径の低下が認められたため,咬合再構成後,固定性の補綴装置を装着した.考察:中心位採得後に治療用義歯とオーバーレイプロビジョナルレストレーションを用いて垂直的・水平的顎間関係を決定した.プロビジョナルレストレーションを用いて機能および審美を確認したことで,高い口腔関連QOL が得られた.結論:咬合高径の低下に対して,オーバーレイプロビジョナルレストレーションおよび治療用義歯を用いて咬合高径の決定を適切に行うことで,患者の高い満足度が得られた.