抄録
歯列不正を伴う非症候性部分性無歯症患者に包括的な治療を行った症例を報告する.【症例の概要】24 歳,男性.歯並びと前歯の見た目が気になることを主訴に来院した.【所見】永久歯の先天欠如を多数歯に認め,乳歯の低位,咬耗により永久歯の位置異常を認め,非症候性部分性無歯症による審美障害・低位咬合と診断した.【治療方針・治療経過】矯正医によるセットアップ模型と歯科技工士による診断用ワックスアップから補綴設計を立案し,インプラントをアンカーにした矯正治療を行い,上顎前歯部の形態異常に対し,ラミネートベニアによる補綴治療で対処した.【結論】非症候性部分性無歯症の患者に対し,インプラント治療,矯正治療および補綴治療を用いて審美性と機能性に関して良好な成果を得た.