日本顎咬合学会誌 咬み合わせの科学
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原著
顎関節内障とICP-RCP ディスクレパンシーの関連性
矢野 圭介
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2025 年 45 巻 1 号 p. 24-28

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抄録
顎関節内障とICP-RCP ディスクレパンシーの関連性を解明することを目的に研究を行った.MRI を撮影した71名(男性13 名:女性58 名)を対象に顎関節の正常群と顎関節円板転位群および下顎頭骨変化群の3 群に分類し,それぞれ咬頭嵌合位(ICP)から後方限界位(RCP)までの滑走量(ICP-RCP ディスクレパンシー)を比較検証した.その結果,正常群は平均0.09mm,円板転位群は0.96mm,下顎頭骨変化群は1.8mm であり,それぞれ有意差が認められた.片側群と両側群とでは有意差が得られなかったことから,円板転位や骨変化が片側だとしてもICPRCPディスクレパンシー量が増大する可能性が示唆された.joint effusion の有無に関しては有意差が認められず,咬合への影響は低いものと考えられた.以上のことから,顎関節内障はICP-RCP ディスクレパンシーをもたらし,病態の進行に伴いその量が増加することが示唆された.
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© 2025 特定非営利活動法人 日本顎咬合学会
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