日本顎咬合学会誌 咬み合わせの科学
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総説
動揺歯に対する固定と咬合調整
関野 愉
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2025 年 45 巻 1 号 p. 45-51

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抄録
歯の動揺は臨床で頻繁にみられる所見であり,不快感や咀嚼機能の障害を引き起こす要因となる.その主な原因は,歯周炎に伴う歯槽骨吸収や咬合性外傷,あるいは両者の併存である.本総説では,歯周疾患における歯の動揺の原因,評価法,治療の適応について,最新のエビデンスに基づき概説した.歯の動揺度は,治療後の臨床的アタッチメントレベル(CAL)や長期予後に影響する可能性があるが,多くの動揺歯は長期保存が可能であり,動揺の存在だけで抜歯を判断すべきではない.固定は機能的安定を得るための補助的手段として有効だが,歯周組織の治癒を直接促進するものではない.また,咬合性外傷が歯周炎の進行に与える影響については,動物実験では一定の関連が示唆されているが,ヒトでの因果関係は未解明である.診断は推定的所見に基づくことが多く,特に「進行性の動揺」は病的状態として慎重に評価する必要がある.本稿では,歯の動揺に関する基礎および臨床研究を踏まえ,その診断と治療の現状と課題を明らかにした.
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© 2025 特定非営利活動法人 日本顎咬合学会
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