2020 年 76 巻 7 号 p. III_93-III_101
本研究では,固体状キレート剤による下水消化汚泥からの有害重金属類の除去手法の開発を目指し,繊維状キレート剤による酸性模擬廃水および下水消化汚泥中の溶解性重金属類の吸着に及ぼす反応時間およびpHの影響について検討した.まず,模擬廃水での吸着実験では,キレート剤は1時間程度で重金属を吸着でき,pHが3以上の条件において,その吸着効果を十分に発揮することが分かった.次に,下水消化汚泥を酸性(pH = 2)にして溶出させた重金属類の吸着実験では,pHを2から2.5や3に上昇させることでキレート剤への吸着量が増加したが,汚泥に再吸着する量も増加した.pH 2においてもキレート剤への吸着がみられたことから,強酸性条件下であっても下水消化汚泥から溶解性重金属類を吸着除去できる可能性が示された.