日本顎咬合学会誌 咬み合わせの科学
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口腔内バイオフィルム感染症の特徴
奥田 克爾
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2003 年 23 巻 2 号 p. 132-139

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抄録
口腔バイオフィルム感染症の特徴について解説した.口腔細菌は歯面, 歯周組織, 舌背, 頬粘膜, 義歯やインプラントなどに定着して, バイオフィルムとなって持続感染している.デンタルプラークは, 複数の細菌がコミュニィティーをつくる特徴のあるバイオフィルムとなる.口腔内バイオフィルムからとびだす細菌は, 全身1生の疾患に密接にかかわっているという多くの証明がなされてきた, 私たちは, 動脈疾患部位に歯周病原菌が検出されるかを調べ, 26人の動脈疾患部の6部位にTreponema denticolaのDNAならびに抗原を見つけた.しかし, 健康な動脈には歯周病原菌は検出されなかった.また, 心臓冠状動脈疾患部位の材料中にも, 歯周病原菌のDNAを検出した。胃潰瘍などのリスク因子であるHelicobacter pyloriと歯周病原菌との関係についても明らかにした.歯周病原性Campy-lobacter rectusは, H.pyloriと共通する抗原を有することによってH.pylori感染胃疾患と関係することを指摘した.さらに, 歯周病原菌の熱ショック蛋白質が掌蹠膿疱症に関与していることも示した.本解説では, 要介護高齢者に対する口腔ケアの意義についても記載した.
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