2004 年 24 巻 1 号 p. 101-108
ハイドロキャスト法におけるティッシュコンディショナーを用いた入れ歯作りにおいて問題提起された生物学的反応は, 咬合に変化を生じる場合と生じない場合がある.変化のある場合は, これに従って治療すれば最終的には中心咬合位に到達する.
一方, 口蓋の広い範囲をを一時的に刺激すると燕下位に向かって閉口することも知られている.このことは, ハイドロキャスト法やバイオロジックデンチャー法に深く関与しているものと思われる.
診断用義歯を用いれば, 正常なのか, 顎機能障害がない低位咬合なのか, 顎機能障害なのかの判別が可能である.すなわち, 正常な顎運動をしている場合は変化がない.顎機能障害がない低位咬合の場合は, 下顎の左右で同じ変化がみられる.顎機能障害がある場合は, 下顎臼歯部で左右が違った変化がみられる.以上のような臨床的診断が可能である.