日本顎咬合学会誌 咬み合わせの科学
Online ISSN : 1884-8230
Print ISSN : 1346-8111
ISSN-L : 1346-8111
顎口腔系再構成治療への最近の考え方 (ローアングルケラスIII症例を通じて)
仲山 尚男
著者情報
ジャーナル フリー

2006 年 26 巻 1-2 号 p. 62-71

詳細
抄録

顎口腔系が夜間ブラキシズムなどのパラファンクションの動きに対しても長期的に安定して機能していけるかどうかは, 咬合平面の角度, 咬合高径, そして顆路の動きに調和した各歯牙へのガイダンスの3つの要件が重要と考えられている.TMJ症状, 知覚過敏症状やアブフラクションにはじまる口腔内の不調和のサインなどから顎口腔系に調和していないと診断された咬合状態を治療する際, 補綴治療やスプリント療法だけでは限界のあることのほうが多い.こうした現状のなかで本格治療をするにあたっては補綴, 保存, 矯正といった分類ごとにおける治療ではなく, そうなってしまった不正咬合の成因を理解した上での診断がその前段階に必須となることが多い.過去の機械論的なナソロジーに対して, より生理学的な咬合理論であるオーストリアナソロジーの概念に則って, スラヴィチェック (元, ウイーン大学教授) , 佐藤 (現, 神奈川歯科大学教授) らの考え方をもとに, 今回は不正咬合治療に対してどのように診断し, その結果顎顔面の生体の機能回復を図ったかをローアングルクラス皿の症例を例にとりご報告させていただく.

著者関連情報
© 特定非営利活動法人日本顎咬合学会
前の記事 次の記事
feedback
Top