日本顎咬合学会誌 咬み合わせの科学
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原因の診断に基づいた咬合再構成
藤本 博
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2007 年 27 巻 1-2 号 p. 50-59

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抄録

私たちは咬合崩壊している患者の個々の口腔内を目の前にしたとき, 何を守り, 何を目指すのかを明確にしておかなければならない.患者自身が本来持っている生体の治癒力の再賦活化を促進し, 美しい天然歯列の再現とメインテナンスのしやすい環境の構築を目指す.そのために行うべきことは, 原因の究明に基づいた診断とその診断の上に成り立つ治療ゴールの設定, そしてトリートメントプランの作成である.
実際に治療を行うにあたっては, 残存する歯牙および歯槽骨を含む歯周組織を可及的に保存しつつ, インプラント, 矯正, 再生療法, 補綴などさまざまな治療のオプションを用いることによって病的咬合状態から脱却し, 治療咬合を与え, 口腔の健康を回復し, さらに術者側と患者側双方がメインテナンスしやすい環境を整えておかなければならないと考える.
必要十分な資料を収集・分析し, そこから原因の推考に基づく診断を行い, 適切な治療オプションの選択をすることが治療成功の鍵となる.つまり, 診断をしたときにその症例の治療の成否は決まっているのである.個々の症例に応じた的確な診断を下せることが, 見立ての良い歯科医師の条件であると考えている.

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