抄録
目的:老人保健法による集団健診実施場面での市町村保健師の行動と行動の意味,行動に関与する認識から,保健師が従事することの重要性・価値を検討する.方法:5年以上の経験があり,同意の得られた4名の保健師を対象に,集団健診実施場面での保健師の行動と行動の意味,行動に関与する認識について半構成的面接を行った.行動は集団健診の時期別に,行動の意味は向けられた相手別に分析した.行動に関与する認識は同じ内容ごと,カテゴリーに分類・整理した.結果:行動136件のうち,「連絡.報告・確認する」などは準備,実施中,実施後のすべての時期においてみられた.行動の意味222件では,住民,地区役員,委託機関スタッフなどさまざまな相手に対して,関係づくりや効率的で安心・リラックスした健診を実施することがあり,保健行動を促すことは住民に対するものであった.行動に関与する認識として,従事していてよかったこと・役立ったこと22件を7カテゴリーに,従事するうえでの今後の抱負12件を6カテゴリーに分類した.考察:保健師は集団健診の実施全体において,絶えず受診者の流れを意識し,調整役を務めていた.また,同時に複数の意図をもち,援助技術・技法を組み合わせた活動を実践していた.保健師が従事することの重要性・価値として,「スムーズな健診を実施する」「住民との関係性を深める」「地域を知る」「ニーズや課題を明確にする」「活動の成果を把握する」「活動を展開・発展する」「行政サービスを紹介する」の7点が示唆された.