日本地域看護学会誌
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10年目の保健所保健師に求められる実践能力レベル : 保健師と事務系職員による所属別回答比較
平野 美千代佐伯 和子
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2009 年 11 巻 2 号 p. 59-67

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抄録

目的:保健師と事務系職員が10年目の保健所保健師に求める実践能力レベルを明らかにすることを目的とした.研究方法:調査対象は47都道府県庁および7都道府県の県型保健所と市町村に勤める,実務経験10年以上の保健師,事務系職員とし,2006年11〜12月に無記名自記式質問紙調査を郵送法で実施した.調査への協力は自由意思とし、返送をもって承諾とみなした.10年目に1人で実践できる内容を基準に,保健所保健師に求められる実践能力レベルを4段階で記載し,回答者の各2群比較はMann-Whitney U検定を用いた.分析対象は都道府県保健師261人,市町村保健師392名,事務系職員211人,計864人(有効回答率29.8%)であった.結果:経験10年目を基準にした実践能力39項目のうち2項目を除いて,保健所保健師の10年目に8割以上の人が「1人でできる」レベル以上の実践能力を求めていた.職種,所属により求めるレベルに差はあったが,保健師の基礎となる能力は50〜70%,対人支援能力・地域支援能力は25〜60%,施策能力・管理能力は15〜55%の人が「指導できる」レベルを求めていた.回答者の各2群比較では,1O年目の保健所保健師に対し,事務系職員,市町村保健師は都道府県保健師よりも高いレベルの実践能力を求め,特に地域支援能力,施策能力,管理能力で有意差が認められた.結論:保健所保健師には中堅期から指導者として必要な能力を育成していく重要性が示唆された.

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© 2009 一般社団法人 日本地域看護学会
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