日本地域看護学会誌
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都市部の一地域に暮らす在日フィリピン人の肥満と生活習慣の実態
呉 珠響斉藤 恵美子河原 加代子
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2009 年 11 巻 2 号 p. 74-79

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抄録

目的:本研究は,都市部の一地域に暮らす在日フィリピン人の肥満と生活習慣の実態を明らかにし,基礎資料を得ることを目的とした.方法:20歳以上の在日フィリピン人60名に対し,無記名の英語の自記式質問紙による集合調査を実施した.結果:回収数は53名,有効回答数は40名であった.男性は12名(30.0%),女性28名(70.0%),BMI≧25の割合は男女ともに25.0%であった.男女での2群間での比較では,男性のほうが,家族以外の者との同居,大学卒業以上,8時間以上の勤務の人の割合が有意に高かった.また,男性のほうが,毎日フィリピン料理を食べる人の割合が有意に高く,ミリエンダの回数が有意に多く,食品摂取の多様性得点が有意に低く,食事の時間が有意に短かった.肥満群と非肥満群との比較では,肥満群のほうが,腹囲≧90cmの人の割合,身体的疲労がある人の割合,日本料理を食べる頻度が少ない人の割合が有意に高かった.結語:在日フィリピン人の肥満者の割合は25.0%であった.彼らの身体的な疲労,肉体労働への従事や長時間勤務,および食生活に関する習慣が肥満に影響を及ぼしていることが明らかになった.仕事や生活状況を考慮した肥満予防と健康維持および増進のための保健指導の必要性が示唆された.

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© 2009 一般社団法人 日本地域看護学会
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