2009 年 11 巻 2 号 p. 80-86
目的:地区活動に参加している後期高齢者について,前期高齢者と比較検討し,ソーシャルサポートの現状と将来の介護ニーズに関する特性を把握し,地域における課題を明らかにする.方法:老人クラブ等に定期的に参加している高齢者152人を対象に,質問紙を用いた聞き取り調査を実施した.結果:前期,後期高齢者の2群で集計・分析を行った.その結果,後期高齢者のソーシャルサポートは「配偶者以外の同居家族」から受け取るサポートが「別居子・親族」「友人・近隣」より高い割合を示した.また,サポートの種類によりサポート提供者は限定的な傾向がみられた.将来の介護ニーズについては,地域に必要なものとして「状態悪化時の施設・病院」「同年代との交流」等が挙げられ,介護希望場所は「自分の家」が最も多かった.結論:後期高齢者にとって,家族のサポート源としての役割は大きく,手段的サポート,情緒的サポートの主な提供者であることが示された.また,友人や近隣との交流がサポートを得やすい環境づくりにつながることが示唆された.後期高齢者であっても前期高齢者とほぼ変わらない社会的支援の程度が維持されると推察された.後期高齢者にとって活動の場をもつことは,他者との交流によりサポートを受ける可能性を高め,そこで役割を担うことで心身の保持・増進意欲を高めることにつながる.