日本地域看護学会誌
Online ISSN : 2432-0803
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保健所保健師による障害者および神経難病療養者への家庭訪問援助の特徴
田村 須賀子
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2010 年 13 巻 1 号 p. 59-67

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抄録
保健師が行う家庭訪問において,その看護実践過程における保健師の意図と行為を記述することにより,障害者および神経難病療養者等の専門的・技術的な支援が継続的に必要になる,対象本人・家族に対する看護援助の特徴を明確にし,その質向上の方向性について検討することを目的とする.研究対象は,保健所保健師による家庭訪問3事例である.調査項目は,保健師の意図,保健師の行為である.情報提供保健師には家庭訪問援助の過程を詳細に記述できる能力がある者とした.障害者および神経難病療養者への家庭訪問における保健師の意図233件と行為942件を分析対象とした.保健師の意図と行為を事例ごとに概観し,特徴を取り出した.保健師は,(1)対象との信頼関係を形成.維持する,(2)対象の家庭・地域生活状況も視野に入れる,(3)『本人・家族が望む生活』の継続を支える,(4)家族による介護を尊重し充足させ,介護能力を高められるようにする,(5)対象の能力,援助ニーズに見合ったサポート体制の組み方を検討する,(6)対象自身の存在とこれまでの人生を肯定的に受け止められるようにする,ことを基盤におき,家庭訪問援助の専門的・技術的な特徴として,(1)生活上の困難の可能性,再発の兆候・病状悪化を視野に入れる,(2)必要時に対象と連絡を取り合えるようにする,(3)他職種の判断・意見を取り入れ,保健師の援助目標・方法の適切性と修正を検討する,が付加されうると考えられた.
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© 2010 一般社団法人 日本地域看護学会
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